依存症について① 「回復と自助グループ」

最近、薬物依存を克服しようと頑張っていたタレントさんが、覚醒剤使用で再逮捕されました。


この方はこれまで何度も再犯を繰り返しながらも、薬物依存症の治療グループである「ダルク」のミーティングに参加し、ここ何年か薬物を断っていた状態でした。元有名スポーツ選手も、有名なタレントや歌手も、この「ダルク」のミーティングに定期的に参加し、薬物を断っています。それでも、薬物依存は再犯のリスクが非常に高いのです。しかしこれは薬物依存症にだけの特徴ではなく、例えば「アルコール依存症」においても、入院治療後の断酒率(お酒を断ち続ける人の割合)が3割と依存症全体の回復のむずかしさがあるのです。


薬物依存症もアルコール依存症も、治療の中心は薬物やアルコールを”断つ”ことが治療の中心となります。もう二度とやってはいけないということです。近年になって急にやめることが難しい人に対して、対象薬物に似た成分の薬ををしばらく服用して量を減らすような治療が新たに導入されていますが、いずれにしてもいつかはやめることが重要となります。しかしこれは「言うは易し、行うは難し」で、体や心が薬物を渇望するために、気持ちだけでコントロールするのは非常に難しいのです。


そこで工夫された方法が、「自助グループ」と呼ばれる当事者同士のミーテイングを定期的に行う心理社会療法。アルコールでは「断酒会」や「AA(アルコホーリックアノニマス)」と呼ばれ、薬物依存では「ダルク」と呼ばれるグループが有名です。またこうした方法は他の依存症治療にも拡大してゆき、ギャンブル依存症(GA(ギャンブラーズアノニマス))や共依存の回復にも導入されています。


「自助グループは一生通い続けなければいけない」とリカバリー(回復)を果たしている多くの依存症者はおっしゃいます。また「今日やめてはいるけど、明日はどうなるかわからない」ともおっしゃります。それくらい依存症は「なめてはいけない」ものなのです。依存症者の心理には、必ず「否認」という問題があり、「自分は問題ない」「いつかやめられる」「自分は意志が強い」「誰にも迷惑はかけていない」「ちょっとくらいはいいだろう」という考えにとらわれて自分の問題から目を背けようとしてしまいます。こうした心理を打開し、依存症に対しては無力であって、一日一日の努力を大事にするという、まさに「スモールステップ」が回復者の皆さんが最も大事にしていることだったりします。


タレントさんの再逮捕は衝撃的でしたが、彼は罪を償った後で、またいずれ「ダルク」などの治療の場に戻って来ていただくことを願うばかりです。