ゲーム依存と家族の関わり(共依存と育ちの5つのタイプ)

ゲーム依存のみならず、アルコール/薬物といった“物質依存”からDV/アダルトチルドレンといった“関係性の依存”に至るまで全ての依存問題において、本人(依存症者)のみならず「家族」「配偶者・恋人」「関係者」に対する治療や教育が重要だということは、一般にはよく知られていません。


依存症という病気は、別名「否認の病」と言われていて、問題の本人は「自分は依存症じゃない」と問題を低く見積もってしまう(=否認する)傾向があります。なので本人を病院に連れていくことは、多くの場合非常に苦労するわけです。


そういった際に、まずは「困っている家族や周囲の人」に治療の場に来てもらうことが良いとされています。しかし多くの人たちは「私が病気なのではない」「悪いのは子ども」「私には問題はない」と思うので、最初はなぜ自分たちに治療が必要なのかがわからないと感じます。


しかしこの「私が病気なのではない」「私には問題はない」がクセモノで、この意識が知らず知らずのうちに依存症者をより依存症の状態に追い込んでしまう場合があります。


このような親の在り方を専門的には「共依存(きょういぞん)」と呼びます。


つまり「共依存」とは、依存症者に対して、依存を可能にしてしまう(助けてしまう)家族の在り方です。


例えばゲーム依存では、子どもさんが課金を要求し、それを断ると暴れたり学校に行かないなどと言うようになると、それが怖くなってお金を出してしまうことがあったりします。あるいは出来の悪い子どもさんを小さい頃から「ダメな子」と言い続けた結果、学校に行けなくなり部屋に閉じこもってゲームから抜け出せなくなる。そうすると余計親は「ダメなやつだ」と言い続けるために、もっともっと自尊心が低下し、唯一自分の居場所をゲームの世界にのみ求めてしまうようになります。


このようなケースでは、親が子どもさんに対する対応を変え(=共依存から抜け出す)、本人の自尊心がどうしたら良くなるのかを考えることによって、ゲームに依存しないでも社会で生きていけるようしていきたいわけです。


このことを理解する際に重要な、家族関係の5つのパターンがありますのでご紹介いたします。


①ヒーロー(優秀な子)

 その家、あるいは親の期待を一身に受け、成長する子ども。期待に応えられるうちは良いのだが、思春期以降の自立心の芽生えや挫折体験等により自尊心が低下し、期待に答えられない自分には価値がないと思い込んでしまう。逆に成功を続ける中で甘やかされるなどして過剰な自尊心が育つケースでは、人間関係において常に自分が上でないと耐えられなくなってしまい、相手や状況を操作するような人格に育ってしまう場合もある。


②スケープゴート(いけにえ)

 家族の問題の原因を一手に引き受け育つ子ども。優秀な親や兄弟と比較され「ダメな子」というレッテルを貼られたり、親のストレスのはけ口にされたりして育つ。当然ながら自尊心は育たず、社会や対人関係に強い不安を抱えたまま人生を送ることとなる。


③ロストチャイルド(存在しない子)

 存在しているにもかかわらず、あたかもそこにいない子のように扱われ育つ。実際意図的に無視し続けられるケースもあるが、幼少期にあまり手のかからなかった子どもや、兄弟が障害等により手がかかって十分に配慮されなかった子どもも含まれる(近年話題となっている「きょうだい」の問題)。


④マスコット・ピエロ(可愛い子・明るい子)

 一見すると明るく人懐っこく、みんなから愛される存在となるので問題がないと思われがちだが、「人を喜ばせる」ことが自分の存在意義になってしまい内心では人から嫌われることを恐れるような人格に育ってしまうと、苦しくなってしまう。相手の顔色を見たり、機嫌を取ることに必死となり、自分が困っていることを相談できなくなるとなどの問題も生じる。


⑤ケアテーカー(世話好きな子)

 例えば親に精神的な問題があったり配偶者からDVを受けているなどする家庭では、大変な親を助ける子どもがいて、その存在によって親は非常に助かる。しかしこのような子どもが大人になって行き詰まることがある。常に相手の大変さを思いやって助けることが癖になり、人間関係もそのような役割を引き受け過ぎてしまい疲弊しやすくもなる。職場では燃え尽き症候群になったり、依存的な配偶者の言いなりになったりして苦しくなる。


以上の5つのパターンは、依存症や精神障害の背景にある「アダルトチルドレン(AC)」という心の問題をまとめたものですが、実際に親子関係においてこのような背景がある場合には、周囲の関わりも変えていかないと、子どもさんの自尊心の問題は残されたままとなり、根本的な問題解決にはつながらないのです。


また依存症の問題は、「世代間連鎖」(親の上の世代にも依存症やDVの問題があって問題が繰り返されている)が起こっている可能性もあり、その理解と修正が必要となる場合があります(親の側にも上記5パターンのいずれかの育ちの問題があり、問題をこじらせている可能性)。


ここまでの話を簡単に言えば、依存症を本人の問題だけではなく、家族の問題として考えることによって、広くて多様な対応が見えてくるわけです。


実際に親の変化によって、子どもさんが良い方向に変わるケースは依存症回復においては多く見られます。一方で本人の問題だけでなんとかしようとするケースにおいては、あまりいい結果が現れないこともよく知られています。手間はかかりますが、このような対応の重要性をご理解いただければと思います。