3分で名著《シュピリ「アルプスの少女ハイジ」》(100分de名著)

40代以上の人たちの中には、子どもの頃このアニメを一生懸命見ていた人も多いのではないでしょうか?(昭和50年放送開始)。


原作とアニメの内容には若干の違いがあるとのことですが、「都会生活に馴染めないハイジが夢遊病になる話」「クララが歩いた話」などは原作でも扱われている話なのだそうです。


この話の特徴は登場人物のそれぞれが「苦難を抱えて生きている」ということ。「人間不信を抱え孤独な生活を送るおじいさん」「目の見えないペーターの祖母」「威張ってはいるけど本当は気が小さいロッテンマイヤーさん」「両親が不在で寂しい思いを抱えるクララ」「奥さんと娘さんを亡くしてどうしていいか迷っているお医者さん」「頑張ってはいるけど本当の気持ちをわかってもらえずにあたけるペータ」そして「孤児のハイジ」。またこうした心の課題を抱える人達の心への対処が大きく分けて2つある。一つは自分の弱さを認め、他人の痛みを理解しようとする中で豊かな人間関係を築こうとする人たち。そしてもう一つは自分の弱さを隠して人やものに当たることでなんとかしようとする人たち。ただ物語の進行に合わせてそれぞれの人が、それぞれの方法で心を変化させていく姿も描かれている。このあたりがこのお話の面白いところなのではないかと思います。


「『喪失と再生』の体現者」と紹介される原作者のシュピリ自身も、家族の喪失やうつ病を乗り越えてきた人のようです。もともと文学好きだったのが、40代になって作品の発表を始め、その創作活動によって自分を癒やしていた部分があったそうな。


「試練が教えてくれる、豊潤な自然、家族・社会の意味」との副題も、この本への興味を引き立たせる文章のような気がします。