以前に、「自尊心」「自己肯定感」「自己効力感」の違い(共通性)について話題にしました。
今回はその続きとして、みなさんが関心があるであろう「自尊心」の上げ方について考えてみたいと思います。
こうした話は「ほめる」ことを代表として、インターネット上でもたくさん扱われている話題でもありますが、私は以前予告したように「バンデュー」の「自己効力感」の考え方を取り入れて説明したいと思います。
おさらいですがバンデューラーは、『自己効力感を生み出す基盤』として
1.達成経験(上手く行ったり成功したりした経験)
2.代理経験(他の人が上手く行ったのを観察した経験)
3.言語的説得(自分に能力があることを教えてもらったり、励まされたりすること)
4.生理的情緒的高揚(ポジティブな刺激や体験によって気分や身体感覚が高揚すること)
5.想像的体験(自分や他の人の成功経験を想像すること)
6.承認(他人から認められること)
を挙げました。これを取り入れてみたらいいのではないかというのが、私が考える「自尊心を上げる」ための方法です。
例えば「叱っても勉強をしない子どもさん」のケースを例にして、自尊心向上のための方法を考えてみたいと思います。
『1.達成経験(上手く行ったり成功したりした経験)』
これはこの例では遠い目標かもしれませんね。でも、いやだいやだと思っていて、いやいやでもやってみて「あれ、思っているよりも僕できるじゃん」と思えたりしたらこれは使えると思います。だから、例えば親にうるさく言われて勉強をイヤイヤ始めた子どもさんに、「そんなに嫌ならやめてしまえ!」「いやいややっても意味がない!」みたいに言わず、「やってみてどうだった?」「意外とできるとか思わなかった?」みたいな声掛けをしてみたらいかがでしょうか。
『2.代理経験(他の人が上手く行ったのを観察した経験)』
これ結構、勉強が苦手な子に使えそうな気がします。ある勉強嫌いな小学2年生の子に、「先生もドリルやってみようかな」と言ってノートに同じ問題解き始めたら、その子も見習ってやり始めたことがありました。またある子には「漢字の競争」ということで、大人の私はその子の2倍やるようなルールで始めたら、必死で取り組んで、次から一緒に勉強することを求めるようにもなりました。大人はついつい「やりなさい」と上から目線で指示しがちですが、一緒にやってみて、時に「この字難しいよね」「この問題どうやるの?」「あー、こういう風にやればいいんだ」みたいな言葉かけや質問をしたりもして、大人も宿題をやる姿(見本)を見せることで、勉強がはかどる子がいると思います。
『3.言語的説得(自分に能力があることを教えてもらったり、励まされたりすること)』
これは単に、「あなたには勉強できる力があるんだよ」と励ますことと理解してもいいのですが、やる気がない子がすぐに勉強につながるかはわかりません。他にも「この前、頑張ったじゃん。今日だってできるよ」みたいな言い方もあると思いますが、時間が経ったことを言われてもそれが心に響くかどうかわかりません。実際この方法が一番効果があると思われるのは、先のように『宿題を始める動機づけ』として使うよりも、努力の姿を見せたその時の頑張りを”よく見て”いて、その場で”評価を与えてあげる”こと。その積み重ねが「ちゃんと評価されている」と感じて自尊心を上げることになるのではないかと思います。
長くなったので、続きは次回。
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