映画の紹介①「リンドグレーン」

「なぜあなたは大人なのに、こんなに子どもの気持ちがわかるのですか?」(作中の子どもから手紙より)


スウェーデンの児童文学作家『アストリッド・リンドグレーン』の半生を描いた映画です。


『アストリッド・リンドグレーン』(1907-2002)は「長くつ下のピッピ」「ロッタちゃん」「やかまし村の子どもたち」等の作品で世界的で有名な児童文学作家です。かつて日本では、あの宮崎駿が「長くつ下のピッピ」を1970年代にアニメ化を試みたのですが権利の関係で叶わず、その後息子の宮崎吾朗が「山賊のむすめローニャ」を2014年にアニメ化した経緯があったそうです(NHKBSプレミアム)。


一方で彼女の半生は本国以外ではあまり知られておらず、今回の映画化によってどのようにこの著名な児童文学作家が生まれたのかをうかがい知ることができます。


ネタバレは避けたいので、ここにはパンフレットに載っている簡単なあらすじや感想を述べたいと思います。彼女は保守的なスウェーデンの田舎の家に育ち、自由奔放な性格、母親との葛藤などから生きづらい思春期を過ごしました。そして10代後半になって自立するのですが、その中で大変苦労し、その中で身ごもった自身の子どもをめぐって、これまた苦労をする。しかしその子どもとの関係修復を通して、児童文学の土台が育まれていくというようなお話。


この作品には2つの視点立場で生きていく不安が描かれています。一つはリンドグレーンに感想を寄せる子どもたちが持つ不安。そしてもう一つは彼女自身が大人になってぶつかる壁や困難を通しての不安。


前者は彼女の作品が子どもたちの心の支えとなって解決の糸口となっていく。そして後者は激しく葛藤しながらも、現実に向き合い時間をかけて問題を解決していく。これらがパラレルに描かれ、作品に深みを与えています。


我々は「子どもの悩み」と「大人の悩み」はレベルが違うように考えてしまいがちですが(「子どもなんかより大人の方がよっぽど大変」「大人の悩みは子どもにはわからない」みたいな)、この作品を見て何だかそれは違うように感じたし、何だか両者の悩みには共通点があるようにも感じたし、何だかお互いの悩みの回復がお互いを勇気づけ成長につながるような、そんな感想を持ちました。


ラストシーンで背景に流れる歌も良かった。もし興味があったら、ぜひ映画をご覧になってみてください。


「私も勇気付けられました」

「私ももっと生きてみたいと思いました」(作中の子どもからの手紙より)