映画の紹介②「パラサイト」

先日のアカデミー賞で、最高賞である作品賞を含め4冠に輝いた、そしてあのホアキン・フェニックスの『ジョーカー』を抑えてアジア映画で初の快挙をなした話題の『パラサイト』。


恥ずかしながら私のとって初めての韓国映画。ハリウッドに先立って行われたカンヌ映画祭でのパルムドール賞(最高賞)を取る理由はなんとなくわからんでもなかったけど、なぜこの映画がハリウッドでも評価されたのか?。そんな視点での感想を書いてみたいと思います。


知り合いの韓国映画通から事前に聞いたところでは、韓国映画のサスペンスにおける特徴は、執念深い復讐劇やリアルな犯行のシーンの描写とのことで、小心者の私は見るのにはためらいがありました。しかし一方で、格差社会における弱者の視点からの映画も多いとのことで、いつかは見てみたい思いもあったのです。


この「パラサイト」もご多分に漏れず、そのような現代の韓国での格差社会がベースとなったお話です。ネタバレは避けたいので細かい話は書きませんが、様々なストーリー展開が隠されていて、その内容をつかんでいくと、なぜああいった結末につながっていくのかがわかっていくのかなと思いました。


そして多分この部分で、日本人よりもアメリカ人の方がこのストーリーに共感できるのだろうと思ったのです。それはなぜか?。


ここからはわたくしの私見です。まあこの映画を見たほとんどの人が、この映画が「格差社会」を描いた作品であるということでストーリー展開を追っていくことは予想ができます。でもそれだけだとなぜあの最後の展開になるのかが解せない。


つまりあの映画のもう一つの重要なテーマが見えてこないといけない。それは韓国における「薬物問題」が描かれている点です。


韓国では格差問題と並行して、富裕層や芸能人の薬物汚染が日本以上に深刻なのだそうです。薬物に関する伏線は、奥様の登場シーンやインディアンのモチーフ、社長夫婦のにおいへの敏感さなど各所にちりばめられているし、深読みすると主人公家族以外の登場人物のどこまでが薬物に侵されていたのかという疑惑も生じる。薬物規制にある程度成功している日本人にはこの点はなかなか見抜けないのではないか(いい意味も含めて)。一方アメリカ人はその隠されたストーリーに割とピンとくるものがあったのではないか。


これはもしかしたら同じ格差社会の問題を描いた映画『ジョーカー』をアカデミー賞で出し抜くことができた理由かもしれません。つまりアメリカ人は「格差」+「薬物問題」の映画として、そしてこれはアメリカの問題そのものとして、共感を持って見ることができたのではないかということ。そしてさらに、上の2つに「復讐心(怒り)」や「不条理」がテーマとして加わっていく。このあたりの脚本は確かにいい。アカデミー賞として評価されるのも当然だったのかもしれません。


ちなみにこの映画の初期の仮タイトルは「デカマルコニー」あるいは「ロールシャッハ」だったという話もあり、「写し鏡」や「対称性」というテーマも隠されていたようです。この他にもいろんな見方が発見できそうで、2度3度見てみるのもいいのかも。なかなか骨のある作品だと思いました。