今日現在新型コロナの感染者が全国で23人と、だいぶその人数が減少してきました(ピークは4/11の743人)。非常事態宣言が一両日中にも解除されるという話も出て、沈静化への道筋も見えてきたような印象がありますね。
さて、非常事態宣言下では不要不急の外出は避け、キープディスタンスという形で濃厚接触を避けることによってこの状態を生んだことは、我々の努力の成果であると思います。しかしその一方で活動の自粛は、企業の倒産や給料の減少、解雇、子どもたちの教育機会を奪うなど人々に多くの痛みも生みました。
まだまだ今後の感染拡大リスクや秋以降の第二波の可能性もある中ですが、ここまでの新型コロナ問題における、こころの問題や課題について、いくつかのポイントを整理してみたいと思います。
4月当初は先行きの見えない中で、自分たちがどうなってしまうのだという不安が強くありました。しかし時間の経過とともに、試行錯誤の中で多くの対応点について我々は得ることができました。まずはその事自体が、大きな収穫です。
そして困難の課題において、あるジレンマをやりくりすることが重要だということが見えてきたのではないでしょうか。「これをやれば間違いない」という唯一一つの解決策があるのではなく、「ジレンマをやりくりする」とはどんな事なのでしょうか?。
今まさに私達がやってきた、あるいはやろうとしていることは、①活動の自粛と、②活動の再開です。
①の「活動の自粛」は、感染のリスクは少なくすることができますが、その代わり経済的には大きな停滞や痛みを生んでしまいました。その代わりに②のこれから進める「活動の再開」は、経済的な活気は取り戻すことができますが、感染のリスクは高まって持病を持つ人や高齢者を中心とした犠牲を生んでしまうかもしれません。それぞれにメリットとデメリットがあり、利益と犠牲との間でトレード・オフの関係にあるわけですね。
重要なのは、このジレンマに振り回されるのではなく、こうしたメリットデメリットを理解した上で、我々は主体的に決断をしていくことが重要なのではないかと思うのです。その人や立場によって、この決断には差がある。これも認めなければいけませんね。相互批判していても、埒(らち)が明かない。どんな結果になっても、それぞれの事情を理解して行くことも意味があるのかもしれません。
困難な課題を乗り越える事の本質(ジレンマと見極め・使い分け)を、今まさに我々は経験しているのかもしれません。どんな結果であろうとも、こうした矛盾を我々が生き、葛藤し、そこから得た知識や経験が私達の肥やしになり、また次世代にも受け継がれていく。結果だけではなく、プロセス(過程)にも大きな力があることに、もっと私達は気がついてもいいのかもしれません。
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