依存症について③(若者の問題ではなくおじさんの問題)

「薬物」と聞くと、かつては若者や子どもの問題とイメージする人が多かったのではないかと思います。たしかにかつて「シンナー」や「覚醒剤」は若者に蔓延していましたが、それが現在では減少傾向にあることが、下のグラフ(警察白書;平成29年度版)からわかります。興味深い話ですが、アルコールの消費も若者の間では減少傾向にあるそうです。残念ながら大麻に関しては増加傾向ですが、覚醒剤などのハードドラッグにおける若者の薬物使用減少理由は、例えば学校での薬物教育の成果も大きな要因なのではないかと思います。

一方でこの表でじわじわ増加している層が、40代以降の中年の人たちです。つまり現代の薬物問題において最も課題を抱えているのは、実は「いい大人」の世代なのです。この理由として、若者よりもお金をある程度持っている世代を売人の側が狙っているからだという話もあります。


他方、40代50代は責任が増える年齢でもありますが、現代の社会の変化についていけない感覚を持っている人が多く、以前にも増してストレスを抱えている人が多いともいわれています。「いい薬あるよ」とはそんな中で横にやってくる売人のセリフですが、実際こうした緊張感が高い人にとって、薬物の効用は一時的であるとはいえ計り知れないものがあるのかもしれません。


ここで重要なのは薬物による解決ではなく、心の解決です。薬物は一瞬で”バチン”と解決を感じさせてくれますが、心の解決は時間をかけてじっくり進めていかなければなりません。「すぐに結果が欲しい」「具体的にどうしたらいいか」はこれ自体も現代人の病でもあります。こうした解決法は、薬物同様、その後の重大な苦しみを生み、自己を見失うことにつながることがあります。


目まぐるしい変化やそのスピードに目がくらんでいるわけですから、それをじっくり見極める”時間”が必要なのかもしれません。激しい濁流にのみこまれて自分の場を見失っているのであれば、いったん岸に上がって河辺からその流れを観察することも必要なわけですね。”バチン”ではなく、”じわじわ”っと効くことの意味がわかるというのも「いい大人」の知恵なのかもしれませんね。