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執筆者の写真Norio Tomita

3分で名著《シェークスピア「ハムレット」》(100分de名著より)

「生きるべきか死ぬべきか。それが問題だ(To be, or not to be, that is a question)」


のセリフで有名なシェークスピアの悲劇「ハムレット」。NHK「100分de名著」では2014年12月に特集されています。講師(河合祥一郎先生)は、この悲劇の様々な読み方を紹介しつつも、講師独自の視点からの現代的な意味理解を提案しています。


先の有名なセリフは、主役であるハムレット王子の苦悩や迷いを示しているのですが、一つの解釈として中世と近世の価値観の変化の間に立つ苦悩や迷い、あるいは当時のイギリスで生じた宗教的価値観の間(カトリックvsプロテスタント)における苦悩や迷いが表されているのではないかと講師は解きます。


またこれは過去の苦悩というよりは、現代の我々にも通じる悩みであるともおっしゃっています。確かに悩みの定番は、「両極の価値観の間で、どっちつかずで悩む」ことですね。それは例えば「先に進むかあきめるか」「Aを取るかBを取るか」みたいな悩み。ハムレットでは他にもこうした両極の悩みがいくつか出てきて、「なかなか決断しない」の物語が展開されるのだそうです。だから人によっては、優柔不断のハムレットにイラついたり、この作品の短所だと考える方も少なくないそう。しかしこの優柔不断さこそがこの物語の要でもあり、後半の展開を引き立たせる遠因でもあると講師は解きます。


最終的にハムレットが至るこころの境地は「あるがまま」を認めること。両極や決断の間でもがいた先に、ハムレットは自分に湧き上がる思いを信じて先に進むようになるという心の変化があるそうです。


「生きるべきか死ぬべきか」という悲劇の先を、みなさんも覗いてみませんか?




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