『恐怖症(フォビア)』のおはなし①

『○○恐怖症』って言葉、聞かれたことがありますね。


「高所恐怖症」なんてメジャーですが、他にも「閉所恐怖症」「暗所恐怖症」「広場恐怖症」「先端恐怖症」「動物(犬や蛇など)恐怖症」なんて言葉、耳にします。


他にもいろいろと調べると「飛行機恐怖症」「エレベーター恐怖症」「血恐怖症」「雷恐怖症」「地震恐怖症」「嘔吐恐怖症」「大仏恐怖症」などいろんな恐怖症があるそうで、人によって恐怖を感じる対象は様々あるようです。


恐怖症は、ある特定の場所や状況、対象などに対する恐怖感が伴う不安感のことで、多くの場合がそれに付随して「悪いこと」「窒息」「おばけ」「死」などのイメージが湧き上がるので余計に不安が強くなったり、過去のトラウマと結びついて恐怖心が高まるというようなケースも多いのです(重大な交通事故を見てしまい、血を見るとその恐怖心が思い出される等)。


こうした恐怖症の多くは、割にそれほど難しくなく回復が可能と言われています。またその際に用いられる治療法として、「行動療法」における「暴露法(エクスポージャー法)」が有名です。


「暴露(ばくろ)法」とは、その人が持っている秘密を暴露するわけでなく、その恐怖に感じている対象や場面を前に、逃げるのではなく、積極的にそこに向かっていく(これを暴露と言います)治療法です。なので例えば「高所恐怖症」では、高い場所をこわがって行かない(回避する)のではなく、積極的に高い場所に行ってみて本当に恐怖感が生じるか確かめてみる方法なわけで、そういう意味では「荒療治」でもあります。


「○○恐怖症」の方々は、この治療法の話を聞いて「ああ、私は無理っ!」て思いますよね。そうなんですよね。確かに「無理」なことを求められているわけなのですが、この話、もう少しお付き合いください。


そう、この今の段階で「無理」って思われる事自体が、「恐怖症」が治らない原因なのです。「行動療法」では、その「思い込み」を「実際やってみてどうか?」という体験と照らし合わせて考え直すことを重視します。


つまり恐怖症の方々は、実際やってみなくてももう「無理」っていう結論が決まっているわけで、先に進めない。そして「本当のこと」を知らないわけです。


「本当のこと?」って何か?。もちろん実際やってみて「無理」なのかもしれませんけど、もしかしたら「あれ? 思ったより大丈夫じゃん」って経験をする人もいるかもしれませんよね。すっごく単純化すると、やってみて「あれ? 思ったより大丈夫じゃん」って思えた人は、恐怖症が治るわけです。


「暴露法」をすればすべての人が治るわけでもないのですが、実際やてみると「大丈夫じゃん」って体験ができる人が結構いるようです。あるいはすぐにできなくても、「治療者ークライエント」の関係を駆使して少しずつ回復の方向に向かっていく人たちもいます。なので、恐怖症を良くしたいと思われる方はこうした治療法があることを知っていたたき、チャレンジを考えてみていただきたいとも思います。


さてここで「恐怖症」を考える上で重要な考え方、「自動思考」というものについて説明させていただきたいと思います。これはわかりやすく言えば「自動的に湧き出る“思い込み”」と言えますが、例えば飛行機恐怖症では「飛行機に乗る=死ぬ」みたいな単純発想がある。これは人によっては、「飛行機=死」かもしれないし、「飛行=死」かもしれないし、更にひどいと「ひ=死」かもしれない。(他にも飛行機を想像させるもの、例えば「羽」や「鳥」などにも恐怖心を抱くようになる)。


知っている人は知っている。実は飛行機は乗り物の中で一番死亡事故発生率が低い乗り物なのです。それが恐怖症の人にとっては、「飛行機に乗る=100%死ぬ」みたいなイメーになるわけのは不思議なわけですね。


確かに飛行機に乗ることで死んじゃう可能性はゼロではないですけど、じゃあ何でそれよりも死亡事故に合う可能性が多い「車」「バス」や「電車」には乗れるの?ってことですよね。恐怖症の発想にはこうした「論理性」や「思考力」の余地がなく、「不安感」という感情を引き金にした「自動的」「反射的」な判断(思い込み)が生まれていることがおわかりだと思います。


つまり「恐怖症」は、このような思考力の問題(頭が悪いという意味ではありません)と捉えることもでき、その回復や強化が重要なのです。つまり暴露法では、「荒治療」が重要なのでなく、それを通した「気づき」や「冷静な思考力」の回復が一番の目的なのです。


ただ先にも述べたように、それがトラウマ体験ともつながっている方々もいるわけで、単純に暴露をしただけでは気持ちが変わりにくい方もいらっしゃいます。そうした方々の回復を考える意味で、また次回に話を続けていきたいと思います。