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執筆者の写真Norio Tomita

「わかりすぎてしまう」問題

【「わかる」と「わからない」にまつわる問題】


人は「わからない」から不安になるわけですね。


でもそこには逆説的なのですが、「わかりすぎている」問題が横たわっています。


不安を抱える時によく聞く言葉で考えてみましょう。


「将来どうなるかわからないから不安だ」


この言葉の裏には、実は「将来悪い結末になるに違いない」という思いが隠されています。


でもよく考えてみると、将来は「悪くなるかもしれないし、そうじゃないかもしれない」という性質があるわけですよね。


それがあたかも悪くなることが100%なんだと思いこんでしまう。病的になればなるほど頭の中がその考えでいっぱいになってしまう。


それはそれは大変に不安になるわけです。


しかしここであえて疑問をはさむと、「本当に100%悪くなるのかしら?」「今の問題を解決する方法はないのかしら?」とも思うわけですね。


【「視野狭窄(しやきょうさく)」と不安】


不安の原因の一つに「視野狭窄(しやきょうさく)」っていうものがあります。


簡単に言うと、「不安になるから、視野や考えが狭くなる」という意味です。


たぶんこれは自己防衛の方法でもあって、人は不安にらないために処理すべき情報を少なくし、消費エネルギーを最低限にしようとするみたいな心理が働くのだと思います。


それ自体は、人間の本能的な方法でもあるので、これは仕方ない。


でもそれが「思い込み」にもなって逆に不安から抜け出せなくなリ悪循環が生まれる。


だから難しい。


ここで冷静になるために私は一つの視点を提供したい。


それは「わからない」から不安なのではなく、「わかりすぎてしまう」がために不安になっているのだと。


つまりこの「わかりすぎている」は、「将来悪いことが起きるに違いない」との思い込みです。


すごいなと思いませんか?。将来がまだどうなるかわからないのに、それなのにもう「将来が見えてしまっている、決まってしまっている」わけですねよね。


そもそも人間は「将来どうなるかわからない」から、その対処のために準備したり行動したりするわけですよね。


でも不安になると、努力しても将来は変えられないと思い込んでしまっているから、頑張れなくなる。動けなくなってしまうわけです。


だから実は「わかりすぎてしまう」ってのは恐ろしいわけです。


【「頑張る」だけが解決ではない(実体験の大切さ)】


さて、ここで解決の方法を考えてみたいと思います。


さっき、「思い込みによって頑張れなくなっている。動けなくなっている」と話したので、解決のためには「頑張れ」「勇気を出して動いてみよ」的にはげますことが必要のようにも思ってしまうかもしれません。


もちろん、そうした叱咤激励をして動ける人であれば、それも解決策の一つかもしれませんね。


しかし、精神医学や心理学では「うつ病」などの人に「頑張れ」とはげますことは、逆効果だったり時に病気を悪化させる原因にもなってしまうと言われています。


ではどうしたら良いのか?


不安が増大して「うつ病」になった際に、「休息」が重要だと言われたりします。つまり何もしないことを推奨する。


何もしないと言うのは、不安をそのままにして時間を無駄にするみたいなイメージがあることですね。


それはある人たちにとっては、「どんどん悪くなるに違いない」とわかっていることです。


でも本当にそうなのでしょうか?


実際に経験してみてください。


不安にならないために、それ自体を良しとしないかもしれませんが。


時には1年、2年と経ってしまうかもしれません。


でももしそれでも悪くならなかったのであれば、あるいは良くはなっていなくても悪くもなっていないことに気がづいたら、自分の「わかりすぎてしまう」問題が間違いであったことに気づいてください。


「実体験」によって、「思い込み」を変えていくのです。


この話、一つ視点が抜けていましたね。「1年2年経って、もっと悪くなったらどうするんだ」というご意見。お考えになった方もいると思います。


そうしたら、もう1年2年様子を見てください。そこでまた考えてみましょう。


【「思い込み」を変えられるかどうか?】


「そんな最長4年も待てないよ」と思った方。別の解決を考えてみましょう。


それはあなたの「思い込み」を変えられないかどうか?。


別の言い方をすれば、「わかりすぎている」問題を解決できないかどうか?。


繰り返しになりますが、実は「わからない」から将来が不安なのではなく、「わかりすぎている」から不安になっているわけです。


「どうなるかわからない」という『迷い』を受け入れられないために、結論を早々に作りだしてしまう。ここが問題なのですね。


『迷って試行錯誤する』ことの大事さや価値をもっと重視していかなければなりません。


『恐れ』や『不安』を持ちながら、自分のできることを続け、新たな自分を発見できる『可能性』を信じなければいけません。


この話を聞いて、「そうか!」とわかって変わることができたら良いと思います。


でもこれも「わかりすぎてしまう」問題の繰り返しになってしまってはいけません。


「わからない」事を受け入れつつ、自分の将来が「わからなく」ても、それがだんだんだと「わかってくる」余地もあったら良いのかもしれません。


何もしないまでも、自分の変化や成長を信じて4年くらい『時間』をかけてみて良いのだと思います。



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